上野動物園のすべてのパンダを世話した元飼育係・佐川義明さん
◆1頭1頭に個性があった
初来日の4カ月後からパンダ飼育係になりました。「パンダってどういう動物?」とよく聞かれますが、ひとことでは言えませんね。それぞれ個性が違いましたから。
来た当初のカンカンはやんちゃ盛りで、いつも楽しそうな男の子。つるしてあるタイヤくぐりの名人で、シャワーの水なんかにも喜んだな。ランランは上品なお嬢さんという感じで、おしとやかでした。同じ雌でもホアンホアンはとても気が強かった。でも上野で産んだ子どもたちを育てるうちに、優しいお母さんになりました。
カンカンとランランの来日時にいっしょに来た北京動物園の随行者が、どんな餌が好物か、といったことを伝授してくれたのですが、あとは私たちの手探り。国賓待遇で日本中の人に愛されている動物だから気は抜けませんでしたが、パンダが穏やかで、のんびりした動物だから救われましたね。飼育や人工授精に自信もついた。パンダの世話をずっとできて幸せでした。
4回訪中して、中国は好きです。でもなんで好きなのかなあ。「三国志」を読むのも挫折したし……。たぶんパンダの世話をする中国の知人のことが好きなんでしょう。パンダ1頭ずつの個性が違うように、中国人もいろいろ。自分とかかわる人々と、国籍に関係なく親しくすることが、まさに友好だと思います。